カイロプラクティック矯正の意義

簡単に言えば、圧迫されている関節を解放してあげ、神経・関節機能を正常化(THM!)させるということです。ではいったいどのように神経機能が正常化されるのかを知りたいとい方はこのまま読み進めてください。少し専門的なお話を含みます。

カイロプラクティック矯正の意義として、身体に起こしたいいくつかの変化のうち、ここではメインと考えられている2つ、関節機能/可動域の正常化による脳への刺激と圧迫されている脊髄神経の解放をご紹介いたします。そのまえに、機能神経学を用いてカイロプラクターが患者さんと向き合うとき、大きく分けて3つのステップがあります。(1).

1.Education:患者さんは自身の状態をよく知るべきであり、どれくらの治療が必要か、治療の上でどのようなことが予期されるか、また治療のため自身が何をしなければならないか、ライフスタイルの変更も含めしっかりと知る必要があります。

2.Graded application of therapy: それぞれの刺激療法は段階に分けて、低い刺激から始め、望ましい効果が現れる刺激へと調節していきます。

3.Monitor the effect of the treatment of the neuraxis:刺激療法のあと、その刺激が患者さんにとって望ましい必要な刺激であったかどうか、検査を繰り返します。

それでは刺激のなかでも、カイロプラクターが最も頻繁に使う脊椎矯正についてお話しましょう。脊椎矯正・アジャストメント・マニピュレーション、いろいろな言い方をされますが、カイロプラクターが行う矯正によって患者さんにどのような変化をもたらしているのかということをしっかり把握していれば、僕は使う言葉はどれでもいいと思います。カイロプラクターによっては、この”言葉”に大きな比重を置く場合があり、それはその方のPhilosophyや考え方が大きく作用していると思われ、そのような考え方をもって言葉を大切にすることはすばらしいことだと思います。僕自身はこの言葉はあまり気にしていませんが、アジャスト・矯正というような言葉を使わせていただきます。

この脊椎矯正は、一般的に日本でも”関節を鳴らす”こととして捉えられているように思います。矯正に伴い、ポキッというような音がなることはよくありますが、これは音を鳴らすことを目的としてはいません。関節を動かすことによって、よく音がなる場合があるだけなのです。この音について簡単にお話をすると、関節には関節袋という袋に覆われ、関節の動きをスムーズにするため、この袋の中には関節液で満たされています。関節を動かすとこの関節袋の形も変わり、袋の中で陰圧が起き 関節液が気化し気泡が発生します。気泡はすぐに弾けます。この気泡が弾ける音が、ポキっという音だと考えられているのが、今日もっとも受け入れられている理論です。

カイロプラクティック矯正によって、関節を動かすことはまずその関節の動きを正常化させるという目的があります。矯正の対象となる関節は多くの場合、動きが制限されています。カイロプラクティックでは、この状態の関節をよくSubluxation(サブラクゼーション)やFixation(フィクゼーション)といった言葉で表します。このSubluxationという言葉の持つ意味を話すと、少し”ややこしいこと”になるのでここでは省きます。アジャストといった言葉と同様、この言葉もカイロプラクターによっての哲学や考え方によって形を変えてしまうものだからです。

話を戻して、正しい矯正によってまず起こるべき変化は関節の動きを正常化させるということです。さらに脊椎矯正は中枢神経の機能に作用するということが多く報告されています。(例:視覚・反応速度・眩暈・耳鳴・聴覚障害・偏頭痛・睡眠中歯ぎしり・睡眠障害・異常筋収縮症候群など)(2-5)。中枢神経の機能だけではなく、脳を含めた神経系に直接の変化を及ぼす可能性も報告されています。(6-11)

このような研究・臨床報告等から、脊椎矯正は関節・筋肉の状態を変化させることで求心性の刺激(つまり身体から脳への情報)に作用し、中枢神経の神経細胞レベルで効果があると考えられています。機能神経学のコンセプトを考え出したDr. Carrickの1997年の研究では、頚椎、つまり首の矯正をすることで、中枢神経の機能に大きな変化があったことを報告しています。(2). 脊椎矯正によって刺激・活性化・賦活されうる神経経路、神経細胞、脳脊髄軸はたくさん存在します。それぞれの神経経路は専門的になるのでここでは省きます。脊椎矯正では数多くの神経細胞・神経経路が影響されますが、今回はメインとなる部分のみをご紹介します。

矯正では主に関節の動きが100%機能していない、動きが制限されている関節を矯正することは先に述べました。関節には位置情報を脳に送る受容器(レセプター)が存在します。動きが制限されている関節においては、この受容器への刺激も制限され、関節から脳への情報も制限されてしまいます。矯正では、関節を動かすため関節の受容器を刺激されます。刺激された関節の受容器は、情報を特定の神経経路を通り脳に伝わります。これがまず、矯正においてまず生じる効果です。次に、矯正によって動きが制限されていた関節の可動域が広がります。つまり関節が正常に機能するということです。これによって、制限されていた関節から脳への情報伝達も元に戻すことができます。

この記事の最初に述べましたが、矯正のあと矯正によって刺激された神経細胞がその患者さんにとって必要な刺激であったかどうかを再検査します。神経細胞の状態の検査方法は、眼球運動・瞳孔収縮・バランス・筋肉緊張状態などで調べることができます。

このようにして、矯正は必要な神経細胞を刺激する強力な方法のひとつであり、機能が制限されていた関節機能を回復させることができるのです。機能神経学を用いるカイロプラクターはこのように、どこの関節をどちら側からどのように矯正して、どこの神経細胞を刺激するかを考え、刺激後にその刺激が患者さんに適切であったかどうかをチェックするのです。このようにして、機能低下している神経細胞を活性化・賦活させてあげるのです。

もうひとつ脊椎矯正を行う大事な理由として、圧迫されている脊髄神経を解放させてあげるというものがあります。この脊髄神経の圧迫は関節の機能低下、可動域の制限、関節面の圧迫によって起こるとされています。背骨を成している脊椎(頚椎7個・胸椎12個・腰椎5個)という骨と骨の関節の隙間から脊髄神経という神経が出ています。中枢神経(脳・脊髄)と身体とのコミュニケーション(脳から身体への命令・身体から脳への情報など)はこの脊髄神経を通ってなされています。脊髄神経が圧迫されることにより、このコミュニケーションが阻害され、様々な問題が生じると考えられています。矯正はこのように、機能低下・可動域が制限・関節面の圧迫されている関節を減圧・機能/可動域の正常化をさせてあげることで、神経の圧迫を取り除きます。

参考文献

  1. Beck. RW., 2008. Functional Neurology for Practitoners of Manual Therapy.
  2. Carrick. FR., 1997. Changes in brain function after manipulation of the cervical spine. JMPT 20(8):529-545.
  3. Kelly DD,. Murphy BA, et al 2000. Use of a mental rotation reaction-time paradigm to measure the effects of upper cervical adjustments on Cortical processing. JMPT 23(4):241-251
  4. Knutsen GA. 2001. Significant changes in systolic blood pressure post vectored upper cervical adjustment vs resting control group. JMPT. 24(2):101-109
  5. Stephens D, Pollard H, Bilton D et al. 1999. Bilateral simultaneous optic nerve dysfunction after periorbital trauma. JMPT 22(9):615-621
  6. Dishman JD, Ball KA, Burke J. First Prize: Central motor excitability changes after spinal manipulation: a transcranial magnetic stimulation study. J Manipulative Physiol Ther 2002; 25(1):1-9.
  7. Haavik-Taylor H, Murphy B. The effects of spinal manipulation on central integration of dual somatosensory input observed after motor training: a crossover study. J Manipulative Physiol Ther 2012; 33(4):261-272.
  8. Taylor HH, Murphy B. Altered central integration of dual somatosensory input after cervical spine manipulation. J Manipulative Physiol Ther 2010; 33(3):178-188.
  9. Taylor HH, Murphy B. Altered central integration of dual somatosensory input after cervical spine manipulation. J Manipulative Physiol Ther 2010; 33(3):178-188.
  10. Tashiro M, Ogura T, Masud M, Watanuki S, Shibuya K, Yamaguchi K et al. Cerebral metabolic changes in men after chiropractic spinal manipulation for neck pain. Altern Ther Health Med 2011; 17(6):12-7.
  11. Pickar JG. Neurophysiological effects of spinal manipulation. Spine J 2002; 2(5):357-371.
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