神経システムの柔軟性

脳は実は柔らかい!神経細胞・経路の変化(Neuroplasticity, use it or lose it)

神経システムが与えられる刺激に応じて変化することを、Neuroplasticity(神経可塑性)と呼びます。

神経細胞の基本的な生存条件は3つ。栄養・酸素・刺激です。この中でも神経システムの変化に大事なのは刺激です。神経システムの変化は動作・記憶・痛み、神経でコントロールされるものすべてにあてはまります。

たとえば、バスケットのシュートという動作を例にとってみてみましょう。誰であろうと、最初からバスケットのシュートフォームを完璧に生み出せる人はいません。シュートフォームを習い反復して練習し覚えていくのです。この時に身体の中で起こっているのは神経システムの変化です。最初は頭の中で「足はこの位置。ボールはこのように持ち、左手は添えるだけ。右手のスナップを効かして、膝を使ってボールで弧を描くように放つ・・」などと考えながら、動作を作動させます。脳で考え筋肉に指令を送り、思い描いた動作を作動させるためそれぞれの神経経路を作動させます。最初はこの一連の動作を作動させるための神経経路が今までに使われていなく、効率性・正確性は低いのです。しかし、この神経経路の作動を反復することで、神経システムが変化し効率性・正確性があがっていきます。こうして段々とシュートが入るようになる。頭で考えなくてもシュートを打てるようになってくるのです。

このように神経システムは刺激の強度・頻度によって変わってくるのです。自転車の乗り方、泳ぎ方、ピアノの弾き方なども同じです。皆さん何らかの動作で”身体が覚えている”という感覚を体験したことがあると思います。一度、洗練された神経経路は、たとえ長年その作動から遠ざかっていても、ある程度の効率性は保たれているため”身体が覚えている”感覚で、作動できるのです。もちろん、Use it or lose itのコンセプトどおり、刺激されていなかった神経経路はゆっくりと失われていくので、長年遠ざかってバスケのシュート確立が落ちるのは神経経路が失われ神経経路の効率性・正確性が下がっていくためです。

神経システムの変化は近年の研究でよく知られていることです。興味のあるかたは以下の研究についてもご参照ください。いずれも、刺激による神経細胞の変化を伝えるものです。

  1.  脳卒中による破壊された神経細胞を抱える脳が、失われた機能を回復するために脳細胞の再構築を伝える研究。
  2. 身体のある部分を固定・動かせないようにすると、その身体を動かす脳の神経細胞部分が減少することがわかりました。固定した部分を元にもどし、運動・動かすことで、減少した部分はもとに戻りました。

神経システムが変化することがわかっていただけたと思います。動作の効率・正確性の向上や、神経細胞が神経経路を再構築し失われた機能を補うなどは神経システム変化のプラスの効果です。しかしながら、神経経路の変化はマイナスにも作用してしまうことがあります。たとえば、身体のどこかに慢性的な痛みを抱えている場合です。腰痛としてみましょう。腰の筋肉・関節など疲労・ダメージを受けている組織は脳にそれを痛みとして伝えます。この痛みの神経経路も慢性的に反復して刺激されていると、運動神経経路と同じように痛みの神経経路が”効率的”に作動してしまうのです。中枢神経には痛みを抑制する機能が備わっていますが、”効率的”によく作動する痛みの経路を抑えられなくなってしまうのです。このような場合、痛みのもととなっている関節・筋肉を正常化させ、慢性的な痛みを起こしている神経経路を再構築し、痛みを抑制する中枢神経の機能を向上、”痛みの神経パターン”を壊してあげる必要があります。

神経カイロプラクティックではこのように関節・筋肉・神経システムを順番に正常化させ、神経システムの変化を臨床的にプラスの方向で応用しているのです。

参考文献

  1. Top Stroke Rehabili. 2003 Fall; 10(3):1-20 Green JB
  2. Electroencephalography and Clinical Neuropysiology 97 (1995) 382-386 J. Liepert et al

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