重心/姿勢動揺検査(Posturography)の重要性(IAFNR報告3)

この記事はIAFNR 3rd Annual Conference(10/25/2012-10/28/2012)にてFrederick Carrick, D.C.によってプレゼンされた「The use of computerized dynamic posturography in the Functional Neurology Practice」をもとに書かせていただきました。

2011年から2012年にかけて、アトランタにあるライフ大学の機能神経学センターではプロアイスホッケー選手が数多く訪れています。プロアイスホッケー選手クロスビー選手の治療で、脳しんとうによる様々な障害を抱えるアスリート達が機能神経学を治療オプションとして選ぶようになりました。

その機能神経学センターにて治療を行っているのは、機能神経学のコンセプトを考えだしたCarrick,D.C.,です。この学会にて、Carrickはクロスビー選手を始め、すべての患者様の治療においてバランス機能の検査の重要性をプレゼンしました。患者様を治療するにあたり、Baselineとなる指標が必要です。バランス機能をデータとして記録し、バランス機能の変化を観察することはReceptor-based therapyを行う上でとても重要だと述べていました。ライフ大学のクリニックでは、患者様の治療にあたり、CAPSという装置を用いて、バランス機能を何回も記録するそうです。

それではなぜ、このバランス機能を調べることがそんなにも重要なのでしょうか。

バランスを維持するためには4つの段階があります。1.自身がどこにいるかを知覚する。(頭、四肢が空間のどこにあるのか)2. 摂動(副次的な力の寄与によって乱される現象)の察知。3.察知した摂動に対し、どのような対処が必要かを判断。4.3の実行。

自身がどこにいるのか、頭、身体が空間のどこにあるのかということとバランスを乱す摂動は、前庭、体性感覚(somatosensory)特に固有受容性感覚、それに視覚によって認識されます。バランス機能を保つことは、起立、歩行などに欠かせない機能なので、これらの情報は重複するものもあります。よって、どこかの機能が低下したり異常が発生しているときでも、他からの情報がそれを補い、バランスを保てる事が可能なのです。

人間の身体は補完的にバランス機能を保つことが可能です。しかし、そのような状態のとき、滑りやすい場所や不安定な地面、暗闇や視界の悪いところなど条件の変化によって補完的に機能していたものが機能できなくなり、転んでしまったりして怪我をしてしまうことが多々あります。(これらは、特に高齢者にとって深刻な問題です。)そのため、条件を変えてのバランス機能の検査を行い、バランス維持のために神経機能が正常かどうかを調べる事が重要です。

摂動に対して、どのような反応が必要かを判断するのは主に中枢神経系です。バランス機能の維持は特に小脳が重要な役割を担っています。バランス維持のために必要な反応はもちろん筋肉の仕事ですが、バランス機能の維持には身体中の機能が正常である事が必要です。先に述べさせていただきました感覚器官や神経系だけではなく、心臓血管、呼吸器系、消化器官なども関節的、または直接的にバランス機能に影響するそうです。よって、バランス機能の検査は、身体の病理的問題のチェックと同時に、全身の機能が正常か否かを調べるために重要なのです。

バランス機能の検査は、このように臨床的に重要なテストですが、上記に述べた通り、バランス機能は身体全体の機能に関わっているため、特定の診断基準として使う事は難しいです。特定の診断をするためにバランス機能検査を用いる事はできないのです。バランス検査は明確な診断とはならないことを理解した上で、この検査は臨床上、役立つ情報を与えてくれます。バランス障害を持つ患者のスクリーニングを行う上ではとても重要な検査とのことでした。

学会では、さらに目眩などのバランス障害の発生メカニズムなどが講義され、目の動き(Slow pursuit eye movement [追跡眼球運動], Saccadic eye movement [衝動性眼球運動], optokinetic nystagmus [視線運動性眼振])、それぞれの運動で機能する神経経路と、それを使った機能神経学的なリハビリテーションが紹介されました。ライフ大学のクリニックでは、バランス障害などに対して、身体のどの部分に問題があるかを見つけ、目の運動やGyroStimなどを使用し、機能が低下している、障害のある神経部分を活性化させることで、神経機能の回復を試みているそうです。それらの刺激のあともその都度何回もバランス機能の検査をCAPSで行い、行った刺激が正しいものであったかどうかを頻繁にチェックしていくそうです。

Dr.Carrickは、バランス機能の検査は、機能神経学を用いるクリニックにおいて欠かせないものであり、このテクノロジーを用いた検査は機能的な障害を発券する事に役立ち、様々な方法で神経経路を刺激する治療の指標として大切なことだ、と結論づけていました。

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Posted on 01/21/2013, in 第3回IAFNR学会参加報告, 重心/姿勢動揺検査(Posturography)の重要性(IAFNR報告3), 機能神経学. Bookmark the permalink. Leave a comment.

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