座骨神経痛①梨状筋症候群

座骨神経痛は座骨神経が刺激されることによって起こる神経痛の症状です。メカニズムは、L4-5,S1-3らの脊椎神経から成る座骨神経が梨状筋の下を通り大腿後面を下行していくどこかで圧迫や絞扼によって障害を受けて神経痛となります。症状は痛み以外にも、痺れ、麻痺感覚、筋力低下などとして現れる可能性があります。その原因として、椎間板ヘルニアや梨状筋症候群(Pirifomis Syndrome)、変形性腰椎症、腰部脊柱管狭窄症などがあげられます。脊髄腫瘍や骨盤内腫瘍などでも非常に強い座骨神経痛が現れることがあるので注意が必要です。

座骨神経痛の治療は、原因疾患によって異なります。原因疾患を明確にしてから適切な治療プランを立てる必要があります。座骨神経痛の治療として現在、対症療法が主流です。日常生活の指導(安静/長時間の座位を避ける/重いものの持ち上げを避ける/腹筋などの強化や背骨の可動域の促進などを目的とした運動など)、薬物療法、理学療法、ブロック注射などが症状の程度によって行われ、神経の圧迫/絞扼の程度や歩行障害/他の神経症状の有無によって手術が薦められます。

マニュアルセラピーを行うオフィスに訪れる座骨神経痛を訴える患者さんは、椎間板ヘルニアや梨状筋症候群(Pirifomis Syndrome)、変形性腰椎症を原因としていることが多いです。そしてこれらの疾患に対しては、正しいマニュアルセラピーと身体構造の改善を目指したエキササイズなどが有効的であり、薬物療法や侵襲的治療の前に行う療法として試す価値があると思います。(原因疾患を鑑別できる医療従事者ということが絶対条件です)。

文献(2)より引用。座骨神経(Sciatic nerve)と梨状筋(Piriformis)

文献(2)より引用。座骨神経(Sciatic nerve)と梨状筋(Piriformis)

梨状筋症候群のメカニズム、原因、治療などを考察した2013年の文献(2)を紹介します。梨状筋の長期的または異常な収縮によって梨状筋症候群が引き起されます。他の神経絞扼(例:手根管症候群)と同様、神経の通り道が阻害されることが原因で、梨状筋が神経の通り道を圧迫することで引き起されます。アメリカでは年間240万人が梨状筋症候群による座骨神経痛を引き起すと推測され、中年に多く、男性よりも女性に多いとされています。 梨状筋は仙骨から大腿(Greater Trochanter;大転子)に横に繋がっており、S1-2によって支配されています。梨状筋症候群を引き起す原因は、はっきりとわからないケースが多いようですが、以下のようなことで引き起される可能性があります。

  • 臀部の怪我(数年後に発症するケースもある)
  • 解剖学的多様性(多くの人の座骨神経は梨状筋の下を通るが、梨状筋の間や上を通ったり、座骨神経が2つに分かれ、1本が梨状筋に挟まれたり下や上を走ったりと多様性が見られ、より神経が圧迫されやすいケースなどがある)(3)
  • 筋膜トリガーポイント(Myofascial Trigger points )
  • 梨状筋肥大や筋痙攣(Hypertrophy and/or spasm)
  • 梨状筋における膿瘍、血腫、筋炎、骨液包炎、骨化性筋炎など

このレビュー(2)の著者たちは梨状筋症候群は診断やその原因を突き止めるのが難しく、良く見落とされてしまいがちだとしています。梨状筋症候群の97.9%が臀部の痛みを伴い、股関節/太ももの裏の痛み(81.9%)、ふくらはぎ(59%)、腰痛(18.9%)、また排泄時の肛門の痛み、尾てい骨痛などを引き起すこともあります。よく原因不明とされる尾てい骨の痛みの原因の多くは梨状筋症候群ではないかと推測する人もいるそうです。疼痛以外にも足のむくれ、女性の性交疼痛、男性の性的能力の障害なども梨状筋症候群によってよく引き起される症状だとされています。39-95% の患者は座位またはスクワットで痛みが増加します。しかしながら、通常は神経学的所見は見られず感覚障害もありません。梨状筋症候群と診断するためのゴールドスタンダード(至適基準)は現在ありませんが、梨状筋の触診によるトリガーポイント、piriformis sign(下肢の外転によって[piriformisを収縮させて]痛みが生じれば)、などが診断において有用である事が報告されています。

座骨神経痛を引き起す梨状筋症候群の治療法としてはまず現在のところ、理学療法、生活指導、薬物療法(NSAID, Muscle Relaxants, Neuropathic pain medications)、心理療法などの保存療法が行われています。これらで改善が見られないときには、interventional therapyが考えられ、稀ではありますが、手術が行われるケースもあります。しかし、理学療法の有効性は数多く報告されています。このことから、生活習慣の改善と、正しい筋肉の使い方、構造的改善などが有効だと思われます。筋硬直や筋肥大、筋膜トリガーポイントなどに対しては、Active Release Technique (ART)など筋ストレッチ系の療法が効果的かもしれません。(筋肉のストレッチの有効性についてはこちら。)また梨状筋に異常を引き越す原因を考察した際には、身体の機能構造を評価し、体幹の安定性などを高めるCore exercisesを行うことが薦められます。

Reference:
  1. PubMed Health (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmedhealth/PMH0001706/#adam_000686.disease.causes)
  2. Brief review: Piriformis syndrome: etiology, diagnosis, and management,Can J Anesth/J Can Anesth (2013) 60:1003–1012.
  3. Anatomy Atlas (http://www.anatomyatlases.org/AnatomicVariants/NervousSystem/Images/70.shtml)
 
Advertisements

Posted on 02/18/2014, in 慢性になりやすい痛み. Bookmark the permalink. Leave a comment.

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out / Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out / Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out / Change )

Google+ photo

You are commenting using your Google+ account. Log Out / Change )

Connecting to %s

%d bloggers like this: